趣味が楽しめる部屋としてのイメージが強い地下室。日本の場合、住宅に地下室を取り入れているところはまだまだ少数ですが、憧れている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、地下室を作る前に知っておくべきメリットやデメリットなどをご紹介します。
もくじ
地下室のタイプ
実は地下室にも下記のようにいろいろなタイプがあります。
全地下タイプ
部屋全体が地下に埋まっているタイプです。視線が気にならないほか、断熱性、遮音性に優れています。
半地下タイプ
部屋の半分が地盤面の上に出ているタイプです。光を取り込むことができるので、明るい地下室を作ることができます。
ドライエリアをつくるタイプ
ドライエリアとは、建物の周りの地面を深く掘り下げることで造られたスペースになります。地下室に掃き出し窓のような大きな窓を設置する際に造られます。
地下室のメリット
土地を有効に活用することができる
家を建てる際、容積率というものを気にする必要があります。容積率は敷地面積に対する延床面積の割合です。たとえば、容積率の80%場合、100㎡の敷地面積には最大80㎡の家を建てることが可能となります。ただ、地下室の場合は、条件を満たせば建物全体の3分の1までは容積率で算出する面積に入れなくてよいのです。
遮音性が高い
特に全地下タイプの地下室は遮音性が抜群なので、近所の人に迷惑をかけることなく音楽や映画などを楽しむことができます。
温度が安定している
日本には四季があり、真夏は30度以上まで気温が上がる反面、真冬は1桁台まで気温が下がります。しかし、地下室というのはそうした外気温に影響を受けず、1年を通して温度がほぼ一定です。
衝撃や振動が伝わらない
2階で小さな子どもが遊んでいると、足音や振動が気になりますよね。しかし、地下室であれば、衝撃や振動が居住スペースには伝わってこないので、お客さんが来たときなども、子どもたちはストレスなく遊べて、なおかつ家の中は静かです。
地震に強い
地下室は地震に強いと言われています。建物は地表より高くなればなるほど地震の影響を受けやすいです。高層マンションの高層階のほうが揺れを大きく感じてしまうのはこのためです。一方、地下室は地盤に囲まれているため、地震の揺れが軽減されます。また、地下室を鉄筋コンクリートで造ると建物全体が地震に強くなるのです。
地下室のデメリット
建築費が高くなる
地下室を作るとなると、ボーリング調査費用、山留工事費用、防水工事費用、防カビ工事費用などさまざまな費用がかかってきます。単純に部屋を一つ増やすくらいの費用では収まらないということを覚えておきましょう。
結露しやすい
メリットの部分で、温度が一定とご紹介しましたが、夏の場合はそれが結露の原因にもなります。地下室の外は高温多湿ですが、地下室内はひんやりとしているので、温度差が生まれて結露が発生してしまいます。また、コンクリートで地下室を造っている場合、コンクリートから完全に水分が抜けるまでは時間がかかります。完全に水分が抜けていないうちはさらに湿気がこもりやすくなるので、夏はできるだけ外気を家の中に入れないようにして、除湿器を使うようにしましょう。
浸水に注意が必要
台風や局地的な集中豪雨によって地下室での浸水被害が発生しています。トイレなどが道路面より低い場所にある場合、下水が逆流することがあります。さらに、道路側から流れてきた雨水によってドアが開きにくくなるなど、浸水には細心の注意が必要です。土のうを積んだり、逆流防止弁付きのポンプ施設を設置するなど事前に対策を行っておいてください。
地下室に適している部屋
しっかり音を遮断できる全地下タイプであれば、大きな音が出ても問題ないので、音楽スタジオやシアタールームとしての利用に適しています。小さな子どもがいる場合は思いっきり遊んでも近所迷惑にならないので、特に隣の家との距離が近い場合は、地下室を子どもの遊び場として利用するのも一つの手です。
また、人の目が気にならないことから、大きな器具を使用するようなトレーニングルームとしての利用も向いています。
他にも、地下室をワインセラーとして使用するという方法もあります。ただ、ワインは温度や湿度管理が厳しいことに加え、振動や光、ニオイに対してもかなり気を使わなければいけないので、居住空間の一部をワインセラーにするというよりは、地下室全体を備蓄空間にするのがおすすめです。
まとめ
地下室は薄暗いので居住スペースには向かない、というイメージを抱いている人もいるかもしれませんが、地下室にも全地下タイプ、半地下タイプ、ドライエリアを作るタイプなど種類があるので、タイプによってはしっかり光を取り入れることができます。さらに地下室は1年を通して温度が一定なので、意外にも快適な空間です。ただ、夏は結露しやすくなるので、対策をしっかり行う必要があります。
地下室は居住空間、趣味の部屋、子どもの遊び場などさまざまな用途がありますので、予算を考慮しつつ検討してみてはいかがでしょうか。