タイトルにもある「巾木」。いったいなんて読むのだろう?と思った方も多いのではないでしょうか。読み方は「はばき」です。部屋の下の方に注目すると、床と壁の境目に4~5㎝ほどの板がありませんか?これが巾木です。壁や床などはこだわって選ぶ人も多いのですが、この巾木については意外に見落としがちです。しかし、巾木も部屋の印象を左右するパーツなのです。
もくじ
巾木の役割
一見なくても良さそうな巾木ですが、しっかりとした役割があります。実は、壁と床というのはぴったりくっついているわけではなく、隙間が空いています。これは、壁や床が動いてしまったときのためのスペースなのです。無添加住宅では無垢材を使用しているのですが、無垢材というのは温度や湿度の影響を受けて膨張したり収縮したりします。もしも床と壁が隙間なくぴったりくっついていると、そうした動きに対応できなくなります。そのため、あえて隙間をあけ、その隙間を巾木で隠しているのです。もう一つは壁の保護です。掃除機をかけている際、巾木にぶつけてしまったことはないでしょうか。床と近い部分は何かがぶつかったりしやすいため、保護するものがないと壁の下の方が破損しやすくなってしまうのです。
巾木の種類
木製のものを使うことが多いですが、最近ではさまざまな素材の巾木があります。
木巾木
巾木の素材の中でもよく用いられるのが木巾木です。木ならではの温かみがあり、どんな雰囲気の部屋にもなじみやすいです。木巾木は厚みがあり、曲げることができないので、角はきれいに仕上げられるように計算して切ったり、削ったりします。
ソフト巾木
ソフト巾木というのは、軟質ビニル製の巾木のことです。木や石と違って、簡単に曲げられるのが特徴です。厚みがないので巾木の上にホコリがたまらないというメリットがありますが、他の素材に比べるとやや安っぽく見えてしまうデメリットがあります。
石巾木
巾木に石材を使用する場合もあります。ただ、石巾木は床も石材の場合が多いです。石種は、床と同じものを使用するのが一般的とされています。木巾木と同じく石材も厚みがあるので、壁面よりも大きく出っ張ってしまうという点は注意が必要です。
金属巾木
金属と言っても材質に種類はありますが、ステンレスやスチールがよく使用されます。スタイリッシュ、シャープと言った印象がある金属巾木ですが、多くはオフィスや公共のトイレなどに使われ、一般の住宅で使用されることは少ないです。
タイル巾木
石巾木と同じく、床がタイルの場合は巾木としてタイルが用いられることがあります。ただ、巾木としてタイルが使用されるのはかなりまれなケースです。
巾木の工法
巾木をよく見てみると、壁よりも出っ張っているものが多いです。これは「出巾木」という工法になります。逆に壁面よりも奥に巾木がある「入巾木」という工法もあります。見た目がスッキリする分、壁面の下にあるへこみにはホコリがたまりやすいので、掃除が大変です。もう一つ、出巾木と入巾木の中間である面巾木(平巾木)というものもあります。壁面と巾木がフラットなので、掃除がしやすく部屋が狭く見えることもありません。出巾木が多く採用される理由としては施工がしやすく、コストが安いからです。面巾木や入巾木はどうしても手間がかかってしまうので、コストが高くなります。
選び方のコツはある?
床と同じ色にする
暗めのフローリングであれば濃い色の木巾木など、床と同色系の巾木を選ぶのが一般的であり、無難とされています。床と色を合わせることで部屋を広く見せる効果もあります。
壁と同じ色にする
部屋をシンプルに見せる場合、全体的に同じ色で統一するなど色はあまり多く使わない傾向にあります。そこで、巾木を壁と同じ色にすると独特な存在感をなくすことができます。
廻り縁や窓枠と同じ色にする
壁や床と色を合わせる選び方は、いわば巾木を目立たなくするためのものです。逆に巾木で個性を出したいということであれば、廻り縁(壁と天井の境につけられる部材)や窓枠と色を合わせるという選び方がおすすめです。部屋の中で良いアクセントになるという効果がありますが、オシャレな空間にするためには全体のバランスをよく考える必要があります。
目立たなくさせたいなら低いものを選ぶ
通常の巾木は4~5㎝ほどの高さがありますが。それより低いものもあります。壁とまったく同じ色にするとなんだかのっぺりしてしまうような気もするけど、フローリングと同じような色だと存在感が強すぎる…という場合には、高さを調節してみましょう。少し低くするだけでだいぶスッキリ見えます。
まとめ
部屋の中で巾木が占める面積は壁や床などに比べればごくわずかです。しかし、何となくで決めてしまうと、完成してから部屋が狭く感じてしまったり、巾木だけ妙に浮いているように感じたりします。それだけ存在感は大きいのです。家づくりの際はぜひ巾木にもこだわってみてください。