古くから建築材として使用されていたヒノキ。日本最古の木造建築であり、1300年以上の歴史を持つ法隆寺にもヒノキが使われているのです。
その優れた耐久性や保存性から神社仏閣のみならず、日本の住宅にも広く取り入れられています。今回は、そんなヒノキの特徴についてご紹介します。
ヒノキについて
ヒノキと言うと木曽ヒノキが有名です。花粉シーズンになるとよく耳にするスギの次に造林面積が広く、本州・四国・九州に分布しています。
ヒノキの特徴
耐久性が高い
ヒノキはその優れた耐久性から法隆寺の建材にも使用されているとご紹介しました。飛鳥時代に建築されたものが今も変わらずに存在できていることからもヒノキの優秀さがうかがえますが、さらに驚くことに、ヒノキは伐採直後から強度が増していくという性質があります。伐採から約200年後にピークを迎え、そこからは徐々に強度が低下していきます。それでも、一般の住宅用建材としては十分すぎるほどの耐久性といえます。
木肌がなめらか
ヒノキは木の中心部分と外周部分の色の差がなく、ゆっくりと成長するために年輪の幅が狭いので、整った美しい木肌をしています。
調湿性がある
木というのは常に呼吸をしており、それは木材として切り出された後も続きます。木材が呼吸をすることで、湿度が高いときには空気中の水分を吸収し、逆に低いときには空気中に水分を放出します。季節によって温度や湿度が激しく変化する日本においては、この調湿性能が非常に役に立ちます。
抗菌作用がある
皆さんは「ヒノキチオール」と言うものを聞いたことがあるでしょうか。化粧品や育毛剤などにも含まれている成分です。台湾ヒノキという樹木から発見されたことでその名がつきました。ヒノキチオールは、殺菌力や抗菌力が強いことで知られており、防腐効果を得るために化粧品などに配合されています。その名前から国産ヒノキにも多く含まれているのではないかと思っている人も多いのですが、実は先ほど紹介した国産ヒノキにはほとんど含まれていません。しかし、国産ヒノキにはアルファ・カジノールという化合物が多く含まれています。これはヒノキ特有の香りのもとになっており、強い抗菌作用があります。
天然木だから安心というわけではない!?
無添加住宅では、だれもが安心、安全に暮らせるよう、身体に良くない建材は一切使いません。
天然木であることから体にも優しいイメージがあるヒノキであれば、お風呂場やリビングのフローリングなど、さまざまなところで使用されているのかと思いきや、無添加住宅では内装にヒノキは使いません。
なぜかというと、先ほども少し紹介しましたが、ヒノキは菌や虫を寄せ付けないために天然の化学物質を持っています。そのため、化学物質過敏症の方の中には、ヒノキから放出される化学物質に反応してしまう人もいるのです。
そこで、影響の大きい内装部分には人に優しい木材を使用し、土台や柱といった構造材にヒノキを使用するようにしています。
何も手を加えていない天然木というと、体に優しいイメージもありますが、すべてがそうではありません。ヒノキは非常に優秀な建材ではありますが、使用する場所には注意が必要です。