家の印象は室内の壁材でも第一印象が、がらりと変わります。家を検討するにあたって、壁材に漆喰を考えている方も多いと思います。それは漆喰ならではの風合いや質感が魅力だからともいえます。ただ漆喰といってもあまり特徴を知らず、どのようなものを選んでよいか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、漆喰について紹介していきたいと思います。
もくじ
漆喰の歴史
今から5千年前のエジプトのピラミッドの壁に使われたのが漆喰の起源です。日本では、高松塚古墳やキトラ古墳などに漆喰が用いられていることから、日本には約1,300年前に漆喰の加工技術が渡ったと考えられています。その後、城郭建築に漆喰が用いられ多くの城の壁が漆喰で飾られます。漆喰の代表的な建物としては白鷺城と呼ばれる、兵庫県の姫路城などが代表的なものです。
漆喰のメリット
漆喰のメリットは以下のようなものが挙げられます。
時間が経っても劣化しない
近年、内壁に多く使われるビニールクロスは、長年暮らしていると黄ばんできたり、壁紙が剥がれてきてしまいます。そのため、10年ほど経過したら張り替えるのが一般的です。しかし、漆喰は長い年月を経ても劣化しないと言われています。また漆喰は、ほこりが付着しにくいので美しい状態を保つことができます。
洋風、和風どちらにも合う
漆喰というと、「和風な家にしか合わないのではないか」と思っている方もいるかもしれませんが、漆喰のデザインは実に様々。表面の仕上げ方によっては洋風の家にもしっかりマッチします。
調湿性能に優れている
漆喰は、微細な多孔質の素材であるため、優れた吸湿・放湿性があります。湿度の高い夏は湿気を吸い込み、乾燥した冬には湿気を放出することで、空間の湿度を適度に調節することができます。その結果、結露を防止し、建物の耐久性を維持することにもつながります。
耐火性に優れている
漆喰は非常に防火性が高く、建築基準法第2条第9号において不燃材料に認定されています。万一の火災があった際も化学建材のようにダイオキシンなどの有害なガスが発生することもありません。昔の城壁や土蔵もその理由から漆喰が使われていました。
抗菌性がある
漆喰は強アルカリ性という性質をもっています。強アルカリは殺菌剤としても使われているほど強い成分なので、漆喰壁は細菌やカビが発生しにくいのです。また、「強アルカリだけど、人間に害はないの?」と心配になる方もいるかもしれませんが、しっかり乾燥させ、硬化した漆喰壁は触っても全く問題ないのでご安心ください。
漆喰のデメリット
では、漆喰のデメリットにはどんなものがあるかというと、以下のようなものが挙げられます。
ひび割れのおそれがある
漆喰は時間が経過するとともに、どんどん固くなっていきます。そのため、地震などの強い揺れでひび割れることがあります。また、外壁の場合は季節や天候の影響を大きく受けるため、内壁よりもひび割れに注意を払う必要があります。
汚れが目立つ
白い漆喰の壁はやはり汚れたときに目立ってしまいます。特に漆喰は水をはじかないので、コーヒーなど色の濃いものをこぼした際には壁に浸透してシミになってしまうのが非常に厄介です。ただ、小さなシミであれば、やすりやカッターナイフなどで削れば簡単にメンテナンスが可能です。
手間とお金がかかる
漆喰の一番のデメリットとなりうるのが、手間とお金がかかるということ。
安価なビニールクロスに対し、漆喰は少し高くつきます。漆喰を塗る面積が大きければ大きいほどコストが相当かかります。
そして何より、壁紙を糊ではるだけの施工タイプと比べると作業工程が多く、職人による左官技術を要します。
材料費だけでなく施工費も高くなる傾向にあるので、家を建てる際、費用をできる限り抑えたい方は、あらかじめ予算を決めたうえで検討する必要があります。
無添加住宅が漆喰を取り入れる理由
日本の住宅の平均寿命はわずか30年と言われているのですが、その最大の理由はリーズナブルな建材に多く使われている化学合成接着剤が20~30年で劣化してしまうためです。
その点、無添加住宅のオリジナル漆喰は、化学合成接着剤を使用せず、かわりに接着剤に海藻のぎんなん草を使用するなど身体に良くないものを一切加えていないので安全で、劣化することもありません。
また、一般的に売られている漆喰の中には、合成接着剤や合成樹脂などの石油由来ののりが混ざっているものが多く出回っています。これらは人体に有害な化学物質を含んでいるので、シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因になることもあります。
ですので、無添加住宅では自分たちでオリジナルの漆喰を製造しています。ただ、漆喰を採用するにあたり心配されるのが、デメリットの部分で紹介した、施工に時間と手間がかかる、さらには割れやすいという点です。
そこで無添加住宅では、漆喰のデメリットに対して独自の製造方法で対策を取っています。施工の手間に関しては、通常2、3回重ね塗りする所を1回で厚塗りできるように開発したり、割れやすいことに関しては、割れにくくするための材料の配合に工夫するなど従来の漆喰のデメリットをカバーする工夫を行うことで、より多くの家に使用してもらえることを目指しています。