無添加住宅
コラム

米のりの特徴と強度について

お米は食物として私たちのエネルギーになるだけでなく、実は昔から、建具や家具の接着剤としても使用されていました。確かに指でつぶすと強い粘り気がありますが、はたして接着力や強度に問題はないのでしょうか。

そこで今回は、古くから受け継がれてきた米のりの特長や強度についてご紹介します。

のりの歴史

仏教が伝来して以来、接着剤として使用されていたのは「にかわ」という動物の骨や皮を煮て作られるゼラチンでした。にかわは高温では液体ですが、常温では固体になります。その性質を利用して、のりとして使用されていたのです。

その後、登場したのが「米のり」です。日本では奈良時代のころから建具や家具の接着剤として使用されていたと言われています。
江戸時代になるとのりがさらに普及し、幅広く使用されるようになったのですが、米のりは食べ物から作られているので長期保存をすることができずにいました。

そこで、ドイツののりからヒントを得て、でんぷんに腐りにくくする薬を混ぜ合わせたでんぷんのりの原型になるものが誕生しました。

米のりの特長

米は熱によってα化(高分子化)し、固まるとセルロース、つまり木と同じようなものに変化します。木と木を接着する際、気温や湿度によって多少木が膨張したり、収縮したとしても米のり自体が木と一体化しているので、剥がれにくいという特長があります。

このα化した米のりの寿命は長く、100年以上もつとも言われているのです。
また体に悪いものは一切含まれず、接着剤としての寿命も非常に長い米のり。しかし、米のりにまったくデメリットがないかというとそうでもありません。

米のりは接着するまでに1日以上かかってしまいます。瞬間的に接着されるわけではないので、少し時間を要します。

もう一つ、先ほど米のりの寿命は100年以上とご紹介しましたが、直接水がかかってしまうとはがれやすくなるので、注意が必要です。

米のりの強度

「化学合成接着剤などに比べて、ちょっとした衝撃ですぐにはがれてしまうのでは?」と思っている方もいると思いますが、当社で実験した結果、木工用ボンドとほぼ同じ強度であることがわかりました。

先ほども述べましたが、特に米のりは木材との相性が良いのです。
木材は湿度が高いときには膨張し、逆に低いときには収縮する性質を持っているのですが、お米のでんぷんと木のセルロースは化学式(C6H10O5)が同じです。つまり、同じように伸び縮みしてくれるので、接着面がはがれにくくなるのです。

無添加住宅が米のりを取り入れる理由

近年、問題視されている「シックハウス症候群」の原因のほとんどが、接着剤などに含まれる化学物質だとわかってきました。
さらに、化学合成接着剤は身体に悪いだけでなく、だいたい20~30年で劣化すると言われています。この接着剤の寿命が結果として家の寿命になってしまいます。

コストを最優先して化学合成接着剤を家のいたるところに取り入れると、ローンをやっと返済し終わるというときに、家の建て直しを余儀なくされる可能性もあるのです。

そこで無添加住宅では、だれもが安心して100年は住める家を建てるためにも、米のりを取り入れることにしました。

米のりは、普段私たちが口にしているお米からできているということで、無害で安全な接着剤です。さらに、寿命は100年以上の長さと言われています。

こうした接着剤で十分な接着効果と健康的な効果が期待できるので、無添加住宅の資材は、木材の貼り合わせなどに使うのりを手づくりの米のりにしているのです。